アキバ系セレブリティ


きのこ 序章・なんでアキバに行かされたか。

私は中途で事務員兼コンテンツデザイナー(普通のwebもやるけどモバイルの仕事が結果的に多いかった)として採用されました。
といっても、それまでフリーランサーだった社長が「法人じゃないと不便だなー」って立ち上げたので、実質「社長・経理・私、以上終了」っていう感じの小さな個人事務所みたいなもので、当時は別の会社に間借りをさせてもらっていました。経理の人は非常勤だし、社長は打ち合わせや相手先企業での作業が多いので、デスクが常時必要なのは私だけだったので、それで何とかなってました。

でも半年くらい勤務したあたりで、郵便物や電話のこともあり、「そこそこやっていけそうな目処も立ったし、専用の事務所を借りようか」という話が持ち上がりました。
今となったら恥ずかしい語感なんですが、"ビットバレー"っていうのでコンテンツデザイン会社が渋谷あたりに乱立した時代がありました。
私が始めてそのいぶし銀(あんまり輝かしく無いの意)のコンテンツデザイナーとしてのキャリアをスタートさせたのは恵比寿でした。当時大学生。
ネットベンチャーは渋谷発→成功したやつはいまや六本木ヒルズ みたいなイメージがあるわけで。
まさかそれで秋葉原になるなんて……

社長が手配して、秋葉原の雑居ビルの一フロアを借りることになりました。
正直当時は今ほど猛烈にアキバがもてはやされて無かったので、土地的華やかさはなく、「なんで電気街に事務所が移転するのだろうか」と内心…
まぁPCパーツがすぐ買えるのはありがたいですけれど。

自分のマシンをまとめて、宅急便(パソコン便って便利だね)で秋葉原に送って。
リースのオフィス用コピー機はリース業者さんに持って行ってもらって。
全部自分でやるので(総務なんてものはいないので)作業は深夜におよんだのです……
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きのこ 序章・同僚?登場

(あー疲れたなぁ…でもこれが終わらないと明日から仕事にならないしなぁ…)
社長は別の仕事があるので、取引先に行ってます。
一人寂しくモソモソ頑張っていました。

 ||∧∧  < コンバンワ
 || ,,゚Д゚)リ
 ||⊂ノ 
 || ノ
 ||
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
いきなり声かけられたんでビクゥッ!!ってなりました。
男の人が立ってました。
とりあえず眼鏡です。それ以上の印象は当時はありませんでした。

「アナタがちまきさん?」
『はぁ……』
「○○(社長)から聞いてない?」
『なんでしょうか』
「カギもらいに来たんだけど」
あー。確かにスペアキーを何本か作っておくように言われたなぁ…
『えーと、ちょっと待ってください…』
なんか、三人居ます。
三セット差し上げようと、立ち上がったら……

「ツインテールだ!」
「気合はいってる!」

…ツインテール?
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配線するのに髪が邪魔だったんで二つに分けてしばっていただけなんですが…

「なんかうまくやっていけそうな気がしてきた!」
「あ、でも事務の人なんだよね?」
『うまくも何も、こんな時間に一体どちら様でしょうか……』

「マツバラです」
「タケイです」
「ウメダです」

「これから、ぼくたちと一緒にチームでゲームの製作に当たってもらいます」

えぇえええええ

『無理です!ゲームの開発なんかやったことありません』
「大丈夫、グラフィックだから。」
『余計マズイわ!絵なんか描けないです』
(※webデザイナーは絵を描く職業では無い)
「大丈夫。移植だから。ソースはある。」
『そういう問題じゃなくなんで私が頭数に入ってるのかと…』
「社長は説明してないの?」
『カギのことしか聞いて無いです…』

そして恐ろしい置手紙が……(ネットワークが使えるようになって、メール見たら届いていた)
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きのこ 序章・社長の置手紙

mail.gif 件名:秋葉原事務所

急なことですがボクはこれから米○○社に行くことになりました。
とりあえず半年くらいで一回は戻れると思います。
お給料は自動振込みだから心配しないでね。

スペアキーは事務所にマツバラ・タケイ・ウメダという人が来たら渡してください。
みんなと仲良く頑張るように!

『なっ……なんじゃこのメールは……』
マツバラ「なんだって?」
『”みんなと仲良く頑張れ”って……』
ちょっとアンタドラクエじゃないんだから。>みんながんばれ
「じゃあ、頑張ろう」

そしてこれが私の、アキバ人生の始まりとなったのです…
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きのこ 第一章・ゲーム開発

将来の夢・ゲームクリエーター

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でも高校の時に「確率・数列」とかが破滅的にダメ(数学の中でもこれが一番ニガテだ。100点満点のテストで13点を取ったことがある)なことを自覚して、まぁ無理だろうなという結論に達していたんですが…
いろいろあってその後webデザインをするようになり(デザイナというよりはコーダーレベルですが)、FlashのAcrionScriptを触ってみて、あ、やっぱその手の素養がないとゲームプログラミングは無理だなぁと再確認。

それがいきなり「ゲームを作ってください」って言われても…
マツバラ「大丈夫、君がプログラム組むわけじゃないから」
タケイ「プログラムはボク」
ウメダ「サウンドです」

『それで私がグラフィックってことですか…』

四人で作るんですか。ゲーム。同人?

マツバラ「移植元は98、携帯アプリに完全移植をします」
『ああ、携帯ね…
あれでしょ?パズルゲームとかミニゲーム程度ですね?』
マツバラ「当時FDで12枚組みの、RPG要素のあるアドベンチャーシュミレーションゲームです」
…結構なボリュームじゃないですか。それを四人ってアンタ。
『グラフィック担当って私以外にもいるんですよね?ね?』
マツバラ「指導者は呼んであります」

携帯ならファミコンくらいのスペックだろうからなんとかなるだろ。

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(しつこい)
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きのこ 第一章・進化する携帯

解像度っていうのをデジカメやディスプレイのスペックとしてよく目にされると思います。
これは画面上に、どのくらいたくさんの情報を表示できるかを表すものです。
(光の点がいくつ並んでるか、だと思えばいいかな)
普段皆さんがお使いになってるディスプレイはだいたい800×600~1024×768くらいじゃないでしょうか。
私は一応グラフィック関連の職業なので、1280×1024のを使っていました。

携帯の解像度って最初(壁紙とかの機能が登場しだした時)はどれくらいだったと思いますか?
96×72
96.gif
↑こんだけ。PC上で見るとすごい小さく感じるでしょうが、画面そのものの大きさと解像度は正比例するわけじゃないです。今の感覚で当時の携帯画面を見ると、「ゲームウォッチみたいだなぁ」って感じる。
当時はまだ小さい液晶で解像度高いのってあまり普及してなかったんじゃないかと思います(カラー液晶自体が高かったんだと思う)。モノクロ機主流でした。

で、今の携帯は一応QVGA(240×320)というサイズで統一されつつあります。
QVGA.gif
↑こんだけ。PCで見ると「携帯より大きい」って見えると思いますが、今の携帯はそれだけ詳細な(高解像度)液晶を使っているので。(アプリゲームは上下をシステム表示用に空けてあるので、目いっぱい使うわけじゃないですが)
*追記
ちんたら書いてるうちにどんどん状況が変わってきた…今はQVGAが最低ラインで、縦が400のワイドQVGAとか倍のサイズのWQVGAとか、高価格モデルはもっと高解像度なのが大半です。


で、比較ですが
(えーとテレビが大きくても小さくても、ゲームから出せる解像度は同じです。テレビ自体のスペックに合わせて引き伸ばされてるって考えてください。)
FC/SFC
256x224
(FCは8*8のタイルで表現されているので、32×30のタイルが並んでいるかんじ)
PS
640x480
PS2
720x480


……
PSほどじゃなくてもSFC以上のグラフィックを要求されてるってこと????
ま、まぁ……ソース画像はあるんだから何とか……ね…?

(わかりやすくするためにかなり省略して説明していますが、なんか変だったら指摘していただけると助かります)
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きのこ 第一章・PC98の世界

なんか技術的な話が続くな…

98を触ったことがある人って今これを見ている人の中にどれくらいいるのでしょうか?
98っつってもwindows98じゃないですよ、イングラムでもないし。
10年か15年くらい「パソコン=98シリーズ」っていう時代があったのです。
88シリーズもあるんだけどさ。つまりNEC製のパソコンです。
(家庭用っつっても当時の価格で軽自動車買える位でしたが)

同時期に富士通FM系(ご存知FM-towns)とかシャープX系(熱狂的な信者が居るX68k)とかMSX(すいません、私はこれ触れたことが無いんで位置づけがよくわかんない)なんかがありましたが、シェア的には98/88系がダントツでした。

98とか88っていうのはPCゲームが花開いた最初の時代の主流機で、(今ほどPCゲーム=アダルト一色ではなかった)今も続編とかが出たりする「イース」とか「信長の野望」とか「同級生2」とか「piaキャロット」とか(最後の二本はアダルト)いろいろ出たんですよ、百花繚乱。
私は年齢的には98や88に思い出がある世代ではないのですが、七つ上の兄(今30代半ば)がいるので、結構タイトル名とかは覚えてます。個人的には「ソーサリアン」が好きだ。
小学生当時、みんながファミコンに沸いていた時代、私と兄は二人でPCでWizardryとかをやっていたのです。ふふふ。なんていうかハイグレードな兄妹だろ。今もって二人とも引きこもり気質の独身です。

で、今回そういう中で、比較的後期に出たゲームを携帯に移植することになったのです。
回ってきた素材CGを見て絶句。
16色で描いてある……orz
16.gif
たとえば遠くから見てこういう色は
16_2.gif
こういうタイルパターンになってるんですよ…(「補色」というのを使って、思いもつかないような色を表現しています。)
他にも「グラデーションが実は三色のタイルパターン」とか、拡大するとものすごいことになっています。
当時の技術力っていうか職人技ってすげぇよ…
http://tomato.sakuraweb.com/~hiropon/
「上手なタイルパターンの使い方」
http://tomato.sakuraweb.com/~hiropon/lecture/tiling.html
↑要するにこういう技術です。

別に原寸のサイズで使うなら、このまま16色でも十分美しいグラフィックなのですが、98→携帯だと画面のサイズはかなり小さくなりますし、縦横比も違います。
『やばい、これ単純に小さくしたらすごい変な色になってしまう…』
だ、大丈夫だ…指導してくれる人がくるって言ってたし…
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2007年04月30日 11:04| | コメント (5)

きのこ 第一章・地獄のOJT/マリア様を見てる

『大丈夫だ!指導の人がきてくれるって言ってたから!』
ってことできてくれました。私の親くらいの年齢の人(SFC時代に現役だった人なんだと思う)が。
二回だけ。

タイルパターンの消し方
指導「Photoshopでぼかせ」
RPGmapの組み方
指導「このエディタで16*16のチップを並べます」
『渡された素材のマップチップは32*32でできてるようなんですが…』
指導「携帯なのでPC画面より一画面の幅が狭いので、全体に縮小しよう。
ただイベントが起こる建物や木や遺跡などのオブジェクトは雰囲気を残すように」
『え……』
指導「臨機応変で頑張れ」

臨機応変。OJT。ASAP。
これらの言葉が頻出しだす→新人に構っていられる状況じゃない。

指導者が帰ってしまってから、一人で「どっ…どうしよう…」って内心オロオロしながら98の元ゲームを通してプレイしていました。
(でっ…でも私入社してまだ半年もたってないし…
これだけのボリュームのグラフィックを一人でやれってことは無いよね??)
ていうかそもそも私はゲームのグラフィッカーじゃないんですよ?
あくまで「普通のOLにちょっと毛が生えた」程度のグラフィック能力なんですよ?
殆ど「異世界に飛ばされた高校生に世界を救わせる」級じゃない?

ととととりあえずコーヒーでも飲もうかな…
席を立つとマツバラさんは既になんか作業を始めているらしく、高速でキーを叩いています。
完全ブラインドタッチです。スゲー。指が必要最低限の高さしか動かない。
ん?イヤホンでなんか音楽聞いてるのかな?

……彼はRealPlayerで動画を流し見しつつ作業をしていました。
ええ。「マリア様が見てる」を見てらっしゃいました。

アニメ見ながらコード組んでる。

(((( ;゚Д゚))))
お…おら…すげぇところにきちまっただ…生きて帰れる気がしねぇ…

後日、マツバラさんは飲みに行くと私に
「あらちまきさん、あなた、人生が曲がっていてよ?
とニヒルな微笑みを投げかけてくれました…

こ、これが…アキバ系の世界…

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きのこ 第一章・助手席は私

さてゲーム製作をしつつも私には通常通りの仕事もあります。
たまには取引先のお付き合いで見本市に行ったりもします。
見本市っていうのは「売り出される前の商品の展示」とか、「今主力の商品のご紹介」とか、どっちかっていうと本来は問屋さん(バイヤー)を対象としたイベントです。
「ゲームショー」とか「モーターショー」っていうのもほぼ同じです。
ビジネスデーと一般デーがあったりして、一般開放日はお金払えば入れます。その場合はどっちかっていうとエンタテイメント色が強くなります(土日に開催されるとますますそういう感じ)。
東京ビッグサイトとかは本来こういうことに使われる建物で、だからあんな広大なスペースがあるわけ。
ブックフェアとかギフトショーとかデザインフェスタとかいろいろあります。

んで、私は出展者側のお手伝いとして動員されることがよくあります。
たとえばイラストレーターさんですとかスポーツ用品輸入業者とか、私にとっての直接のクライアントがそういうのに参加する時のお手伝いです。
ぶっちゃけ遠いし面倒だけどこれも仕事です…

『あしたビッグサイト行きなんですよ…遠いしめんどくせえなぁ…』
タケイ「俺も近くにイベントで行くからのっけてってやろうか?」
やった。足確保。車ってラクだよね、私は絶対買わないけど。
(免許は持っています)
タケイ「じゃあ明日八時半にココ」
『ワーイ!』

当日、指定された場所で拾ってもらったんですが…

車高の低いスポーツカー。

それはいいんです…
イタ車登場
まさか20代独身女子、仕事で痛車に乗る日がくるなんてっ……

日曜日の秋葉原、観光客いっぱい。
めっちゃ指差されてます。写メール撮られまくりんぐです。
ごく普通の持てない系女子として、この状況でどんな顔をしていいかわかりませんでした…

しかし最近はアキバじゃ珍しくないので、素でたまに乗せてもらいます。(一年くらいで目が慣れた)
乗りごこちは悪くない。
観光客から写真撮影をお願いされたりする程度。タケイさんの愛車は白地にエロゲキャラとかロゴがスタイリッシュにデザインされているので、むしろ「地味だ」と感じるようになってきた。
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きのこ 第一章・ついカッとなってやった 今は後悔している

ちなみにこれら携帯ゲーム開発(移植だけど)は
通常の仕事に上乗せ
で回していかなければいけません。
(今思うと実は作業量自体は大したこと無い。とにかく要領よくやらないと滞るというだけ。
まぁ今じゃ慣れてきてアニメ見ながら作業できるようになりましたが)
頭の中に複数カレンダーを常にチェックしつつ優先度の高い物から片付ける。
村上春樹的ニヒルにいうとマジ「文化的雪かき」って感じです。

『えーとアレとコレは終わっててアレはまだ締め切りまで余裕があってコレは外注に指示を出してあるから二週間後に回収で今日やるべきはコレ』
…という状況で取引先から
「やっぱりアレやって。asapで」
とかいう電話が入る。キシャーーー!!
手帳とかサイボウズとかで管理してみたんですが、割り込みタスクが多いのであんまり役に立たず…
全体に私は”機転が利かない”というか、とっさの判断みたいなのが苦手です。マスターアップ近くなると全員カリカリしてきますし、突発タスクも増えてきます。(画像がいっこ足りないとか、容量の戦いとか)
段々いっぱいいっぱいになってきます。

mail.gif 件名:アイコン修正
「昼夜のアイコンで、昼の太陽のアイコンはあるけど夜の月のが無いからすぐ作ってください」

すぐかよ。まぁ黄色単色で三日月マークを作ればいいんだろ。
moon.gif

…小さいアイコンってかっこよく作るの難しいんですよ…
ドッターじゃないと美麗には作れない。月に見えない。
でもプログラム組み込みの都合上「すぐ作れ」と言われたものはすぐ打ち返さないとまずい。後で差し替えもできるだろう。でもこれで納得したと思われたらヤダなぁ。

mail.gif 件名:Re アイコン修正
『月のアイコン作りました。
でもどう見てもバナナです本当にありがとうございました。
まずけりゃ☆で作り直します』

華麗に小さくにちゃんねらな自分を主張しました。

mail.gif 件名:クオリティタカス
「迅速な対応ありがとうございました」
mail.gif 件名:うはおk
「これで問題ないでしょう」
mail.gif 件名:ちょっと通りますよ
「ml使って遊ばないように」by社長@海外

数分でこんだけ返ってきました。

クオリティ高い会社で嬉しいです…ギコハハハ
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きのこ 第一章・vsメモリ戦

とにかくザクザクと仕事は進んでいきます。だいぶマップチップとか慣れてきた。
しかしここでまた難問がっ…!

一通り必要な画像を作ったところで、マツバラさんが細かく使う位置に当てはめていったところ、そのままでは移植が困難だということがわかりました。
イベントで、全画面を豪華に使った演出が頻発するのが問題らしい。
PCと携帯の違いは、画面のサイズよりもとにかく「メモリ」の問題がハードルになります。
・キャッシュメモリ
・ワークメモリ
どちらも、かなり制限が掛けられます。「キャッシュ」というのがつまり「容量」で、「ワーク」が動作させるのに必要なパワーです。
一枚の大きな絵を次々に表示して、アニメを表現する。
PCでは簡単なことですが、携帯ではまず、全画面サイズの画像を何枚も連続して見せたら、描画にパワーを取られてしまい、動きがもっさりしてしまいます。それ以前に一回にアプリのための「一時的データ置き場」に置ける量は上限が決まっていて、それ全部を画像に使うわけにはいかないわけで…大体一枚が10kbとかあるんですよそのサイズでカラフルなのだと…
「減色」といって、使う色の数を切り落として行って容量を切り詰める方法もあります。元が16色データだからこれでどうだろう?と思いましたが、例のタイルのような表現を使ってグラデーションを表現してあるので、結局あんまり減らすと絵がザリザリに見えてしまいます(私はドッターではないし、全部を打ち直している時間的余裕も当然無い)。
タケイ「申し訳ないが、君には差分取りをしてもらうしかないようだ」
うっ……
つまり、一枚に統合されているパラパラアニメを「動いている要素」だけ最小で切り取って、容量を切り詰めるのです。ものっすごい面倒くさいし、1pxでもずれたらアウトです。すごい神経が疲れます。
他にも、表情が違う同じポーズのキャラの顔だけを切り抜く「表情差分」や衣装違いの「衣装差分」という作業もあります。(でもめんどくささはアニメ差分が一番)

しかしやってもやっても基準がクリアできない…(つまり一回の入れ替えポイントまでで基準値を下回れない。入れ替えが頻発すると、当然ユーザーのストレスが高まる。ゲームとしての完成度が低いとみなされる。パケット料金については、この時既にパケット無制限プランがそれなりに普及していたので気にしなかった)
しかもいちいちタケイさんのところに持っていってプログラムに組みこんでもらわないと、正しく差分が取れているか確認できないんです。

そうだ!!私にはFlashがあるじゃないか!!!
もとある連番の画像ファイルを一括で読み込む→プレビュー
『タケイさん、5と9と13は同じ画像です、一つでいけます』
『これアニメ9コマも無くても大丈夫です、こことこと抜いて5コマでやります』
タケイ「え?ちまきさんアニメーターかなんかやってた?」
ううん、にちゃんねるでFlash職人やってたお!
ウメダ「す、sugeeeee!!」
『へ…ヘヘヘ…』(ちょっと嬉しい)

その後、「特技:Flash」(業務レベルでは出来るほうではないのだが…あくまでOLの特技レベル)は差分取り以外にもアニメシーンのプレビューなどに役立ちました。

この仕事をやってて、web以外のほうがFlashって重宝されるんだな、と思った事件でした。
なんていうか、案外つぶしがきく技術なんですよ。
動画(AfterEffectやmotionといった類)は高画質できれいかもしれないけど、要求されるマシンスペックが高いし、ハードウェア的知識(これが私には特にハードルが高かった)も必要とされるし、機材も高いし、それに案外使わない。
でもFlashはFlash一本持ってれば、どこに行ってもだいたい作れる環境があるし、絵をかくこともできるし、QTからの書き出しを利用すれば動画にもできます。簡単な商品紹介ビデオとかなら十分コレで作れるんですよ。

21世紀オタージョのたしなみとして、Flashは是非ちょっとでもやっとくといいですよ。
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きのこ 第一章・悪夢の機種別対応

開発が大詰めになり、最後のバグ潰しに入りました。
マツバラ「画像タスクが終わったちまきさんは、端末検証センターに行って下さい。起動するかどうか・画像が正しく表示されるかだけでいいので、確認してください」
『はーい』

端末検証センター…
それは…恐ろしい…所でした…
そのキャリアで現状使われているであろう全ての端末が一部屋に揃っています。
部屋を借りられる時間は二時間。両手で携帯操作して頑張るしかneeee!!
(他の会社は数人で来ている様子)
私はもともと個人では携帯自体好きじゃない(就職するまでH'を愛用していた)ので、操作が遅い遅い。
とても一人では予定対応機種全部まで手が回らず…

『すいません…』
マツバラ「いや、ごめん説明がまずかったよ…
基本的に、まず発売時期の新しいやつからT系とかS系とかって、製造会社別に当たっていって」
タケイ「もー次取れるの二週間後なんだから…」
(予約制・人気のある時期は抽選になることも)

さて、なんとか開発したアプリがリリースされました。はぁ。やれやれ。

…と思ったのもつかの間、本当の地獄はむしろここから始まりました。
事務所に常駐するのは私。電話サポートを仰せ使いました。
『ハイ○○秋葉原事務所です』
「すいません、ゲームが動かないのですが…」
『はいそれじゃ、実際に操作しながら原因を調べますので、最初に起動するところから』
「…携帯電話で今喋ってるんですが…」
『……』

みなさん、携帯の不具合は固定電話から報告してくださると嬉しいな…
(本当はメールで問い合わせてもらうのが一番いい)
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きのこ 第一章・見えちゃいけないものはファンタジー

どうにかこうにか16色からフルカラーへの変換のコツがつかめてきた。
(正確にはフルカラーから更に最大256色のgifに変換するが、携帯電話にはゲームボーイなどのゲーム機にある「カラーパレット」が無いので、手作業で残す色・抜く色を決めて色数を落としていく)

しかし作業が進むにつれて再び「時代の違い」が立ちはだかったのです!
タケイ「ねぇねえちまきたん。イベント絵が上からリテイクで戻ってきちゃったんで修正してくれる?」
『え?なんかまずかったですか?』
タケイ「乳首見えてる」

いや別にエッチなゲームでもエッチなイベントでもなく
「妖精が飛んでいる」というファンタジー的にはありがちなシーンの一枚絵です。
確かに妖精(幼女風)は透けるローブみたいなの着てるんで透けてはいますが…
タケイ「これは携帯的には見えたらいけないものなので。」
『移植ってことでできるだけ原画に書き足したくないんですけど』(私はグラフィックソフトの知識があるだけで絵は書けないと何度も…!)
タケイ「これはスー○ーパイ的処理だな。透けてないみたいに塗りつぶして」
『それくらいならできます』

さすがだぜ98。当時は二次元はロリが全盛期だったのと、ゲームのレイティング(年齢規制)がそんなに徹底してなかったのでこの程度の画像は普通にあるのです。
しかし改めてチェックすると出るわ出るわ…
『…これ全裸とかあるんですけど』
タケイ「これは…そうだなぁ水着着せて」
(結局描くのぉおおお!?)
必死にそれっぽく危険なエリアを隠す布を書き足していきます。
絵に自信が無いので結果的にかなり小さな布切れで誤魔化しましたが。

『できました…』
タケイ「うん」


……
タケイ「見えちゃいけないもの…うん、ファンタジーだな。」
『ファンタジー…』

それ以来倫理修正(要するに乳首消し)を社内では「ファンタジー消し」と言っています。
しかし更に落とし穴が!
当時小さな女の子が誘拐され殺される事件が相次いでいました。
タケイ「ごめん敵のグラフィック修正して欲しいんだけど」
『敵に乳首ありました?』(疲れているので意味不明)
タケイ「性的なやつじゃなくて時局柄はずした方がいいかなって話になった」
人さらいが子供をさらって袋に詰めているグラフィックでした。
タケイ「子供を消して、盗賊ってことにしよう」
『ハァ…』(消すだけならすぐできるからいいか…)
タケイ「つまりあれだね」
『なんですか?』
タケイ「見えてはいけないもの。それこそがファンタジーなんだな」
『よくわかんないから帰ってください』
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きのこ 第一章・補足 携帯コンテンツの倫理規制

携帯キャリアは性的表現や反社会表現に厳しいです(「萌え」「お色気」程度なら大丈夫…な場合もあるけど)。もちろん公式CP側が自主規制してる部分もありますが。
でも昔は「メルトモ」みたいなのを公式メニューに載せていた時代があったんですよ。出会いだかコミュニティっていうカテゴリメニューだったかな?
結局いろんな事件が起こって出会い系は一切載せなくなっちゃいましたが。 

そう私は時代の生き証人…まだ出会い系が公式にあった時代に既にネットベンチャー(渋谷にあった)に勤めていたのです!(途中で二年間仕事を辞めていた時代があるので…いまだに技術的にはイマイチですが…)
五人くらいいたアルバイトの中でダントツの「無知」だった私は新設のi-modeチームに回されちゃったのです。(戦力外に一から教えるのであれば、誰もやったことが無いことを覚えてもらうほうが良いであろうということらしい。同じ理由でFlashもそこで覚えた。)

そしてそこから
→携帯スパマー
→アダルトビデオストリーミングサイト
などを経て今にいたります。常にネットベンチャーの暗部というか掃き溜めのようなところでホソボソとやってきました。(だから自分が三年も公式を管理していたというのが結構オドロキだ。会社では最終形態が年齢制限ある仕事は一切やってない)

DoCoMoのi-modeが結果的に成功した理由は、「勝手サイト」といって公式CP以外のページ(普通のPC向けサイトでも形は崩れるけど文字とかは読める)が簡単に見られるということが大きかったと思います、が、そのせいで変な「出会い系」が野放しになったのも確かです。
というか実際に技術を開発した人はきっと「pcのhtmlができるだけ使えたほうが開発が楽だよね」とかそういう事情があったんじゃないかと思いますが。(それまではHDMLというモバイル規格が優勢だった。auや'Hの古いタイプにはHDML機があるが、現在はCHTMLもしくはモバイル用XHTML規格にほぼ移行している。)
現状「キッズケータイ」みたいな携帯や、プランによっては「公式以外は見られない」という設定にすることができる機種があります。PCブラウザのフィルタリングの強力なやつだと思えばよいでしょう。

勝手サイトが野放し(ていうかinternetだからね、取り締まりようがない)な分公式CPは公式として「全年齢向け」しか基本的には認可されません。公式CPにならないと課金モジュールを使った「マイメニュ登録」とか「情報量徴収代行」が利用できません。(もちろん公式じゃなくても料金を取るシステムはありますが、通信料とまとめて請求して回収してくれるサービスはありません。)

いまや「始めてのネットワーク端末」としてメジャーになってしまった携帯電話(もはや電話よりもデータ通信がメインだ)ですが、未成年の君が持っているそれは親の「無事におうちに帰ってきてね」の願いをこめた贈り物であって、遊ぶためのもんじゃないんだゾ!
ぐぐればエロでもグロでもいくらでも出てきちゃうわけですが、自分にとって安全かつ有効な情報(”抜く”ための情報を安全に手に入れるのは、PC初心者では難しい場合もあるよね。それも含めてです)を選択できるときまでは、管理されてても仕方ないと思います。

最近うちの兄(30代ドクヲ)がパケ死しましたけどね、ええ。六万円。
ネット使ったこと無い人で、最近になってネットカフェで使い始めて「やばいタノシス」って携帯で同じ感じでやっちゃったらしい。2Gで…
機種変してパケホ入りなさいよ…兄さん…
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きのこ 第一章・初めてのコミケ

さて、ようやく携帯アプリゲームの仕事も軌道に乗り、私の作業は一段落しました。
(移植なので、グラフィックは先に出揃ってないと作業が滞る)。
しかし既に続編が製作される予定が発表されていたので、その指示を待っていました。
いや、"ゲームの"仕事が一段落しただけで、それ以外の仕事は普通にあるんですけどね。
この分だと夏休み取れそうだなあと秘かに予測していました。
折りよく社長が一時帰国するというので、盆休みをお願いしました。
社長「え!ごめん…うちの会社にいる限りは盆と正月は休めないと思って欲しいんだぁ…
そういう職場だからさぁ…勿論別の時に最大限とっていいから」
ショボーン。でも五月のGWは10日位休ませてもらったから、仕方ないか…
社長「8/15までの一週間は、必ず空けておいて。終わったらいくらでも休んでいいから」
『えー…』
社長「そのために僕帰ってきたんだから!!コミケだから!!


……
…………
はぁ?
『同人誌売るんですか?』
社長「そう。君は売り子要員。仕事扱いだから、代休はあとでいくらでもあげる。交通費その他は出す」
『それこそあの人たちに行かせりゃいいじゃないですか…』
三人「僕たちもコミケは忙しい!」

こ…こいつらは……っ……
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きのこ 第一章・初めてのコミケ3 地獄絵図

売り子っていっても、要するにたまに来る人に本売るくらいでヒマだろ。
コンビニバイトよりラクだろ。

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社長が書いた本、ではなく「地方に住んでいる社長のお友達」の変わりに、イベント出展(企業じゃないから出展はおかしいか…なんていうの?サークル参加?)して売るということだったんですが
搬入される数が既に尋常じゃない…

『え、50冊とか100冊じゃないの?』
タケイさんのコピー本は20冊程度。ウメダさんのCDだって50枚くらいです。
社長「このほかに、書店卸もあるから」
『ひ…ひぃいいいい』
社長「オマエは机から出るな。とにかくお金貰って本を渡すことのみに集中しろ。
おつり銀行で崩してきたから」
もももものすごい量の500円玉…!!(本は一冊500円)
実際、会場が始まった途端、ものすごいことが起こりました。

ダッシュで人が…人が……
社長が鬼のように仕切り整列させます。しかしあっという間に人が溢れます。ととととにかく早く人をさばかなきゃ。
私と売り子さん(もう一人、イベント慣れした人が着ていた)とで二列で販売しますが、私のほうが明らかに処理スピードが遅い…
人数の様子を見て売り子さんと社長が二言三言会話をしています。
社長「販売制限かける。一人3冊まで」
『えっ、あっ、ハイ』
10冊とか纏め買いする人対策のようです。しかし、必要な人は結局もう一回並んで買ってるようです。
じ…地獄だ…(これは夏のコミケですから、とにかくむし暑い)一体…これは…

しかし更なる悲劇が。
その年のコミケってさ…
雨だったんですよ…結構強い雨…
私ね、仕事扱いだからってブラウス着てたんですよね…半袖の華やかな…
でも本が濡れたら売り物にならなくなるので、できるだけ身体でブロック。
蒸し暑いけど寒い…
寒いし、濡れるし、散々でした…

売り子としてはイマイチだったためか、次の回からは私は「在庫の宅急便受け取り」とか「忘れ物があったら会場まで届けに行く(当然迷子になった)」そういうバックアップ仕事に回されています。

しかしとにかく、私が8/15生まれじゃなかったら、きっとここまでコミケを呪うことは無かったでしょう。
この誕生日ってあんまりいいオモイデがない…終戦記念日…
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きのこ 第一章・グラフィッカーにオマカセ

…というわけでなし崩しに社内で「グラフィックの専門家」になった私。
多分みんなのプロフェッショナルぶりに比べたら多分たいしたこと無いんだけどね、実は…

マツバラ「ちまきさん、個人的に質問があるんだけどいいかな?」
『なんですか?』(頼むから私が答えられるレベルの質問であってくれっ…!)
マツバラ「別のとこでやってるモバイルページのFlashなんだけど、画面が真っ赤になって何も表示されない」
『メモリーエラーってやつです。キャッシュじゃなくて描画のメモリが足らない。多分すごい高画質なjpgとかpngぶっこんで表示させてるんじゃないですか?』(あー良かった…答えられる…)
マツバラ「あー、多分それだな。デザイナーさん普段はPC用のサイトしか作らない人だから。派手なんだけど重いんだよね…」
『ただの飾りならgifアニメで十分だと思いますよ』

ウメダ「ねぇねえちまきさん!あのねーこの鉄道の写真をね、一枚に復元したいんだけど」
雑誌、見開きの大きな写真です。つまり閉じ目のところが、普通にスキャンするときれいに出ない。
『こういう印刷だったら、多分真ん中は微妙に重なる感じで印刷してあると思うんで、本をばらしてページを平面にしてスキャンすればいけるんじゃないかな』
ウメダ「ちまきさんのバカバカマ○コ!!こんな貴重な雑誌解体しろだなんて…」
『…じゃあ諦めろ』

タケイ「ちまタン!質問があるんだがいいか!」
『よくなくてもあんたらお構いなしでしょうが…』
タケイ「抱き枕を購入したんだが使い方がわからない」


……
タケイさんは「うつ伏せ寝」なんだそうです…
『普通のまくらとして使ったらどうですか』
タケイ「俺枕が変わると寝れなくてさぁ」
『…抱きついて寝る』
タケイ「それが正しいのはわかってるんだよ!」
『…飾っておく』
タケイ「それじゃ真の勇者じゃないじゃないか!!俺は真のダキマクラーとして独り立ちしたいんだ!」
『ああもううるせえなぁ、あんたのイタ車に乗せとけよ!!』(ヤヤギレ)

タケイ「…ちまきタンて意外と頭いいな…」

それ以来抱き枕を乗せて峠を攻めにいったりしてるみたいです…

(彼の名誉の為に一応断っておきますが、タケイさんはけしてデブキモオタではないです。よくいるSEにしか見えません。人望はむしろあるほうだと思う)


きのこ 第二章・ミナトくん(デザイナー)/表参道オサレ系失礼風味

『…というような感じではっきり言ってうまくやっていけるか不安だよ…』
ミナト「ま、いいんじゃない?あなたなら誰とでもそううまくはいかないだろうし」
しっ、失礼な!

この男ミナトヒロユキ。思ったことはストレートに言う帰国子女。
今は主に渋谷や六本木にあるようなデザイン事務所を中心に活躍するフリーデザイナー。恵比寿でひとり暮らし。東大ほどではないが私の1.3倍くらいの偏差値の大学を卒業。そこそこオサレな容姿。溢れる勝ち組としての自信。お前私の人生にケンカ売ってんのか!と言いたくなるような人間です。でもvipper。
でもまあ基本的には気のいいお兄さんであり、金にはうるさいがいろいろと助けてくれる頼れる奴です。
この会社に就職する前からの仕事上での知り合いです。私は高度なデザインはできないので、ちょっと面倒くさそうだなと思ったら予算次第で外に飛ばすので、大事な人脈です。
ミナト「僕もたまにはいくよ、秋葉原。フィギュアとかは買わないけどね」
『何買うの?』
ミナト「仕事に使うメディアまとめ買いしたりとか。本来そういうとこだよ」
へえー。東京都民的にはそういうものらしい。

ある日ミナト君から携帯に電話が。
ミナト「ちょっと買い物に付き合って欲しいんだけど…」
『ああ、構わないよ。何欲しいの?』
海外の友人に、日本でしか買えない「面白USBアイテム」をプレゼントしたいとのこと。
ミナト「思いっきりジャンクでくだらねーのがいいんだけど。アナタ詳しそうだから」
『…お前の中で私は”ジャンクでくだらない”が専門なのかよ…』
ま、でも数少ない友人の頼みなので、昼休みを利用してちょろっと外出してきました。
もちろん事前に同僚にリサーチ!(私は変に親切なんだぜ!)

寿司型USBメモリとか…あと扇風機とか…
ミナト「んーなんか、ありきたりだなぁ…」
『あ!これどうこれ!』
なんか、ちっちゃい犬のフィギュアにUSB端子がついてる。英語で「○○ dog」って書いてあるけど。
『輸入品を海外の人にあげるのも変かなあ?』
ミナト「…いや。これはいいね。アナタにしては上出来」
すげーぜ。褒められた!
ミナト「…発情した犬」
『……は??』
ミナト「そういう意味なの」

股間にある端子をusbに接続すると、腰を高速でカクカクするという…
そういう…
製品でした…

手に取った時点でわかってたんだから、先に言ってよ…

一応知識として「hot」とかヒートっていうと動物の発情期だというのは知ってたんだけど、「Humping」って意味がわからなくて…。

しかし、ただの友人とはいえ異性に自信満々で薦めてしまった(しかも結果として買わせた)私…orz
とほほ…


きのこ 第二章・肩書き/ディレクター

なし崩しに事務員兼webデザイナー(デザインというよりアドミン業務の方が多いが…)から、ゲームのグラフィックや外注管理をするようになったため、便宜上名刺を持たせてもらえることになりました。ただの事務員でいる限りは名刺は使う機会がないのでもらわない。
名刺には「コンテンツ部ディレクター」って入ってました。すごいでしょ、偉そうでしょ。デザイナーより格上なんだぜ!

社長「寝坊した!!作業してから出るから、ちょっと、今のうちに池袋まで行ってレッドアローの指定席買ってきて」
ま、まあそういうこともあるわね…たまの帰国だし時差もあるから辛いのよね…

ミナト(デザイナー)「ごめんっ焼きミスでDVD切らした、すぐDVD買ってうちに来て、外でたらもう間に合わない…高くていいから国内メーカーのやつ」
…動画の書き出し作業かなんかの途中で、マシンが止まったそうです…次に止まったらすぐやり直さないと間に合わないので、外に出られない。
『わかった、恵比寿までなら30分くらいでいけるから』
ミナト「もうひとつごめん…煙草二箱、銘柄わかるよね、それとなんか食べ物買ってきて…カロリー高くて幸せな気分になれるやつ。あと恵比寿の駅前のスタバでラテグランデサイズ、エクストラショット入りで…三日くらい前からコンビニ以外で食事してない…」
『注文が細かすぎるよ…おぼえてられるかな…』

ウメダ(サウンド)「あのね今週のR25回収し損ねた!suica特集なのに!多分神田明神のとこのサンクスにまだあるはずだから、取っておいて!」
タケイ(プログラマ)「予約したエロゲー取ってきてくれない?初回特典なくなっちゃいそう。別の店で同じの三本も予約してるから店別の初回特典は確実に回収したい」
マツバラ(ディレクター兼プログラマ)「ちまきさんお願い…今日メイド喫茶でイベントがあるんだ…お昼の開店直後にチケット買わないと多分ダメだから、買ってきて…僕のつけでコーヒー飲んできていいから」

…私は秋葉原のお母さんじゃねえぞ、とたまに思います。



きのこ 第二章・ディレクション

さて、ゲーム開発の仕事についてばっかり書いてましたが、私のメイン業務は違います。
かっこ良くいうとデレクションですが要するにつかいっぱです
いや「アキバの母」的業務だけじゃないですよ。ただ本質的にはあんまり変わらない。
Aさんに○○を発注してBさんに△△を発注してそれが何日までにできて…という工程管理をしたり、クライアントから借りた資料を管理したりしています。ディレクターというよりADって感じかな。
社長が企画を立てたり、営業して仕事を獲るプロデューサー、私がその下で進行をしてるということに形式上はなります。
(ゲームの仕事の場合はマツバラさんがディレクター、webだと私)
ただ私は、基本的にクライアントから言われない限りは、自分から作業者に「ここ直せ」と指定をすることは(よほど出来がひどくない限りは)しません。
いちいちクライアントと作業者の間に入って、手間が増えるだけじゃん?

『ということでちょっと修正をして欲しいんだけど』
ミナト「はぁ?俺の出したデザインにまだ不満があるってこと?目が腐ってるんじゃないの?」
既に数回修正をしているので、ミナトくんがだんだん切れ気味になってきました。
こ、怖い…(普段は言動が失礼ではあるが紳士的な男性です)
『えっとここの色をもっとポップに…でエッジをシャープに…』
ミナト「ポップ?シャープ?日本語でおk!?
『…ここの色をもっと明るいオレンジにして、全体に白ふちつけて』
クライアントの思考エスパーも仕事です…
しかし今回に限りどうもうまくいかん…

ミナト「もーだめ。これ以上長くなると次の仕事に響く。
あなた挟むと意図がわからんくなる。そのままFWでメール回して」
『ええ…』
フリーランサーであるミナト君たちは、私よりも時間を取られるということについてのコスト意識が高いのです(そうじゃないとやっていけないから)。
ミナト「編集とかしないで。デザインについてのとこだけでいいから」
ダメな子でスイマセン…

(前略)
>妥協せずによりいっそうの
(後略)

ミナト「…は?”妥協せずに”?」
『う…うん…』
ミナト「もうぶっとばすよ?ていうかむしろ俺がでていってやっつけるよ?
だから読まない方がいいっていったのに…
ミナト「俺は最初から一回も妥協とかしてないし、ていうか最初に出したやつが最上だよ!?」
『いや…ねえ…落ち着いて…イライラすると身体に悪いよ…』
ミナト「他人事みたいに言うな!お前も原因のうち数割だ!」

しかしそれでも彼はできる社会人。粛々とデータを作り直してくれました。
【○○ロゴ最終版w.ai」】

『あ、早いね、ありがとう。wってホワイト?』
私が指定したとおり白ふちがついています。
ミナト「それもあるけど皮肉」
『皮肉?』
ミナト「これでもし突っ返してきたら、次からwをいっこづつ増やす」
芝刈り機ドゾー
    _, ._
  ( ・ω・) ンモー
  ○={=}〇,
   |:::::::::\, ', ´
、、、、し 、、、(((.@)wwwwwwwww

いやまあ、私相手にVIPネタで憂さ晴らしするくらいで済むんだったら、いいんです。


きのこ 第二章・チームを率いて三千里

ま、そんなわけで、必要なときにはチーム編成して、便宜上私がトップになります。
大体ミナトくんを柱にして組んでいきます。
たとえばflashでwebゲームを作るとする。
・スクリプター(ActionScriptを組む)
・デザイナー1(全体のデザイン。メインのデザイナー)=ミナトくん
・デザイナー2(細かいアイテムや背景を描く)=トナミくん
・私(全体の管理をして、クライアントに報告連絡相談をし、全員に報酬を分配する)

ゲームと言っても体験版(コンシューマーやPCなどのゲームのお試し)なので、絵とかの素材はある程度あるのさ。

『…ということで先方からもらえた材料はこれだけです。全員確認!』
ミナト「ねえこのキャラさーちょっとブーンに似てるよねー」
『は?ブーンって内藤ホライズン?』(ブーンの本名即答)
トナミ「ぷっ……」
ASスクリプター「あはははは」
ミナト「これ台詞”よろしくね”ってとこ"よろしくだお"にしようぜ」カキカキ
ASスクリプター「アヒャヒャヒャ」カキカキ

『もういいから黙って作業してくれ…』

職場のクオリティがあいも変わらず高すぎるぜ…
同僚だけじゃなかったぜ…


きのこ 第二章・フリーランサーの理由

しかし考えてみたら、わが社は私と社長以外は全員、フリーランサーです。
社長も、元はフリーのSE?ですし今も実際そんなに変わりません。海外や国内を常にうろちょろしているので、滅多に社員の私とは顔を合わせることがありません。

みんなになんでフリーになったの?と改めて聞いてみました。
社長「フリーっていうか…学生時代からやってたから、当然の結果かな」
ウメダ「夢があって起業したいから」
タケイ「だって俺満員電車に乗って通勤とかできないから。」
サカイ「普通の会社員だと、平日のメイド喫茶のランチに行けないじゃん」
(そうやってポイントカードをあの量溜めたわけね…)

改めて聞いてみたら誰一人「まともな就職活動」を経験していない我が社コアスタッフたち。

ま、確かに自由はきくわな。


きのこ 第二章・アキバ外のオタク拝見!

また、私は時にディレクションされる立場でもあります。
みんな驚いちゃいけないぜ!私はたまに「Flashができる人」ということで他社に貸し出されることがあったんです。はい、ASぜんっぜんできませんが何か?基本的にgo to and playもしくはstopしか使わないよ?(英語でたとえるなら"I have a pen"以下だと思ってください)
目黒や恵比寿の華やかなデザイン事務所でも(だから?)、Flashができる人があまり在籍しない人ところはままあります。その会社で一番flashができる人の作ったものを見たら
文字のボタンのヒットエリア(当たり判定)が、文字のみだった
とかはざらです。
(Flashはhtmlと違って、厳密に当たり判定の有る無しを指定しないといけないので、一見文字のリンクも当たり判定は長方形にしないとすごく使いにくいボタンになる。たとえば「O」の真ん中の当たり判定が無いとか。押せねえ!!)

でももともとそんなに気が強いほうでもないし(ネット弁慶ってよく言われます)、ディレクションされる側の方が本質的には好きです(問題はプロフェッショナルとしては能力がしょっぱいということに尽きる…)。それに表参道とか打ち合わせで行くとなんかこう、ハチクロの真山?みたいな?(嬉しい)
そんなオサレ系な職場でのディレクターは、ヨヨギミズエさんといいます。なんか持ち物も”メジャーじゃないシックなブランド物”見たいな感じです。美人です。いいなー。素敵だなー。
ヨヨギ「うちの会社会議室無いからさぁ」
っていっつもオサレなカフェに連れてってくれます。はわー(尊敬)。
ヨヨギ「じゃあ、今度は○○邸ね!」


『家?』
ヨヨギ「あのね、昔の貴族の邸宅で、今は美術館になってるとこ。喫茶室ついてんの。
ムードがあっておしゃれだよー!」
ますます尊敬。
そういうの詳しいんですね。

しかし私は…見てしまった…
ヨヨギさんのオサレなエディターズバッグの中に…
月刊日本の城と歴史…(うろ覚え)

よく見たら…
男たちのYAMATOストラップ携帯についてるよ…
待ちうけが城(どこのかわからん)だし…

ヨヨギ「ちまきちゃんってどこの出身?」
『えと、岐阜県です』
ヨヨギ「ああ岐阜城ね!去年旅行で行った!私、日本全国城巡りしてるんだぁ」
城で認識しないでくださいよ…

その後彼女はあるMMORPGの大手に転職しました。
毎日城だとか…多数対多数の戦闘とか…よかったね…天職だね…
なんで私の関係者ってみんなこうなの…orz


きのこ 第二章・ポフェッショナルデザイナー

以前にもあったように、基本的に業務上全てのやり取りはMLで進んでいきます。
その方が何月何日に指示があった、とかって記録がとりやすいし、全員に作業の進捗が明示されるから。

ちまき
件名:ステータスバー画像
>タケイさん
依頼されていた新規のステータス表示用画像完成しました。
ftpの○○におきました。

タケイ
件名:re ステータスバー画像
組み込んだところ特に問題ありませんでした。
同じように、カーソルがオンになった色違いの…(以下略)

それはそうとナンバーの綴りはNumberですよ。

『なんてことすんだこのチンカス野郎!MLで指摘することないだろ』
タケイ「だって毎回間違ってるんだもん!!」(書き出しの設定保存してたからなのぉ…!)
『大恥かかせやがって!謝れ!レイラさんに謝れ!!』
タケイ「だが私は謝らない」
ウメダ「大丈夫、みんな知ってる」
マツバラ「僕も画像ファイル名の綴り直した事ある」
『…』
タケイ「ほら、言ってあげる俺が一番優しい」

それ以来、名刺はどうあれ、みんなの中の私の役職は「ポフェッショナルデザイナー」で統一されてるようです…
大卒ってレベルじゃねえぞ!(私が)



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