『…というような感じではっきり言ってうまくやっていけるか不安だよ…』
ミナト「ま、いいんじゃない?あなたなら誰とでもそううまくはいかないだろうし」
しっ、失礼な!
![]()
この男ミナトヒロユキ。思ったことはストレートに言う帰国子女。
今は主に渋谷や六本木にあるようなデザイン事務所を中心に活躍するフリーデザイナー。恵比寿でひとり暮らし。東大ほどではないが私の1.3倍くらいの偏差値の大学を卒業。そこそこオサレな容姿。溢れる勝ち組としての自信。お前私の人生にケンカ売ってんのか!と言いたくなるような人間です。でもvipper。
でもまあ基本的には気のいいお兄さんであり、金にはうるさいがいろいろと助けてくれる頼れる奴です。
この会社に就職する前からの仕事上での知り合いです。私は高度なデザインはできないので、ちょっと面倒くさそうだなと思ったら予算次第で外に飛ばすので、大事な人脈です。
ミナト「僕もたまにはいくよ、秋葉原。フィギュアとかは買わないけどね」
『何買うの?』
ミナト「仕事に使うメディアまとめ買いしたりとか。本来そういうとこだよ」
へえー。東京都民的にはそういうものらしい。
ある日ミナト君から携帯に電話が。
ミナト「ちょっと買い物に付き合って欲しいんだけど…」
『ああ、構わないよ。何欲しいの?』
海外の友人に、日本でしか買えない「面白USBアイテム」をプレゼントしたいとのこと。
ミナト「思いっきりジャンクでくだらねーのがいいんだけど。アナタ詳しそうだから」
『…お前の中で私は”ジャンクでくだらない”が専門なのかよ…』
ま、でも数少ない友人の頼みなので、昼休みを利用してちょろっと外出してきました。
もちろん事前に同僚にリサーチ!(私は変に親切なんだぜ!)
寿司型USBメモリとか…あと扇風機とか…
ミナト「んーなんか、ありきたりだなぁ…」
『あ!これどうこれ!』
なんか、ちっちゃい犬のフィギュアにUSB端子がついてる。英語で「○○ dog」って書いてあるけど。
『輸入品を海外の人にあげるのも変かなあ?』
ミナト「…いや。これはいいね。アナタにしては上出来」
すげーぜ。褒められた!
ミナト「…発情した犬」
『……は??』
ミナト「そういう意味なの」
股間にある端子をusbに接続すると、腰を高速でカクカクするという…
そういう…
製品でした…
![]()
手に取った時点でわかってたんだから、先に言ってよ…
一応知識として「hot」とかヒートっていうと動物の発情期だというのは知ってたんだけど、「Humping」って意味がわからなくて…。
しかし、ただの友人とはいえ異性に自信満々で薦めてしまった(しかも結果として買わせた)私…orz
とほほ…
『ごめん、ミナト君パストレースやってくれない?』
ミナト「え、今ダメだよ忙しいから。そんな安いやつやってられない」
『うっ…』
ミナト「安いでしょ?」
『う…うん…だって単純作業だし』
でも自分でやったら他の仕事が止まってしまう…
ものすごく困った顔になっていたらしく、ミナトくんが助け舟を出してくれました。
ミナト「じゃあ一人紹介するよ。後輩ってほどじゃないけど。在宅で仕事したいって言ってた子が居る。学生だから、ある程度管理してあげなきゃいけないけど、多少安くてもやってくれると思う」
トナミ「トナミトシアキです」
…
……
ミナトくんにそっくりだ…
『いとこかなにか?』
ミナト「は?全然そういうのじゃないんだけど。みんな似てるって言うんだよね、僕はそう思わないんだけど」
確かに良く見ると、顔立ちは違います。でもなんていうのかな、痩せ形で茶髪、すこーし神経質そうな佇まいが変に似ているのです。
ミナト「僕とは全然、性格が違うよ」
『そういうものかね?』
『トナミ君は趣味は何かある?』
トナミ「…漫画読んだりとか…あとは玩具とか集めるのが好きですね。海外のやつとか」
ますますミナトくんと同じじゃないか。神経質そうに笑いながら、細い声で応答します。若い頃(今もそんな年がいってるわけじゃないけど)のミナトくんはこんな感じじゃなかったのかな?
ただミナトくんに比べると、多少神経質だったり、趣味がどちらかというと女性的なようです。DMCの根岸系?というか平たく言うと下北系か。
『うん、ちょっと神経質そうだけど、私とはうまくやれると思う。ありがとね』
ミナト「いや、僕ちょっと彼苦手なんだよね…」
『はあ?』
ミナト「なんかこう…ちょっと”僕はあなた的な多数派とは違う”みたいな気取り?みたいのを感じるんだよね…」
トナミ「実は僕ちょっとミナトさん苦手なんですよ…」
『はあ?』
トナミ「もちろん尊敬してはいますけど…なんかこう…無駄に騒がしいというか…」
なんか似てるんだけどなぁ…
『コーヒー飲む?』
トナミ「あ、はい、いただきます」
トナミくんはかなり寡黙なのですが、ミナトくんも出合った頃はこんな感じだったなと、懐かしく思い出しました(慣れるとものすごく良く喋って相手を引かせるほど)。
トナミ「…あ」
トナミくんがぼちょっとシャツにコーヒーをこぼしてしまいました。
『ああ、大丈夫?ちょっと脱いで拭いた方がいいかも』
トナミ君が白に細かい模様の入ったフェミニンなシャツを脱いだら…
VIPと双葉の代理戦争…
だから合わないんだ…この二人…
(いや、多分、それだけじゃないとは思うけど…)
面白いのでもっと激しくやり合って欲しいなと思いますが、年の功でミナト君がかわしているようでした。
なし崩しに事務員兼webデザイナー(デザインというよりアドミン業務の方が多いが…)から、ゲームのグラフィックや外注管理をするようになったため、便宜上名刺を持たせてもらえることになりました。ただの事務員でいる限りは名刺は使う機会がないのでもらわない。
名刺には「コンテンツ部ディレクター」って入ってました。すごいでしょ、偉そうでしょ。デザイナーより格上なんだぜ!
社長「寝坊した!!作業してから出るから、ちょっと、今のうちに池袋まで行ってレッドアローの指定席買ってきて」
ま、まあそういうこともあるわね…たまの帰国だし時差もあるから辛いのよね…
ミナト(デザイナー)「ごめんっ焼きミスでDVD切らした、すぐDVD買ってうちに来て、外でたらもう間に合わない…高くていいから国内メーカーのやつ」
…動画の書き出し作業かなんかの途中で、マシンが止まったそうです…次に止まったらすぐやり直さないと間に合わないので、外に出られない。
『わかった、恵比寿までなら30分くらいでいけるから』
ミナト「もうひとつごめん…煙草二箱、銘柄わかるよね、それとなんか食べ物買ってきて…カロリー高くて幸せな気分になれるやつ。あと恵比寿の駅前のスタバでラテグランデサイズ、エクストラショット入りで…三日くらい前からコンビニ以外で食事してない…」
『注文が細かすぎるよ…おぼえてられるかな…』
ウメダ(サウンド)「あのね今週のR25回収し損ねた!suica特集なのに!多分神田明神のとこのサンクスにまだあるはずだから、取っておいて!」
タケイ(プログラマ)「予約したエロゲー取ってきてくれない?初回特典なくなっちゃいそう。別の店で同じの三本も予約してるから店別の初回特典は確実に回収したい」
マツバラ(ディレクター兼プログラマ)「ちまきさんお願い…今日メイド喫茶でイベントがあるんだ…お昼の開店直後にチケット買わないと多分ダメだから、買ってきて…僕のつけでコーヒー飲んできていいから」
![]()
…私は秋葉原のお母さんじゃねえぞ、とたまに思います。
さて、ゲーム開発の仕事についてばっかり書いてましたが、私のメイン業務は違います。
かっこ良くいうとデレクションですが要するにつかいっぱです。
いや「アキバの母」的業務だけじゃないですよ。ただ本質的にはあんまり変わらない。
Aさんに○○を発注してBさんに△△を発注してそれが何日までにできて…という工程管理をしたり、クライアントから借りた資料を管理したりしています。ディレクターというよりADって感じかな。
社長が企画を立てたり、営業して仕事を獲るプロデューサー、私がその下で進行をしてるということに形式上はなります。
(ゲームの仕事の場合はマツバラさんがディレクター、webだと私)
ただ私は、基本的にクライアントから言われない限りは、自分から作業者に「ここ直せ」と指定をすることは(よほど出来がひどくない限りは)しません。
いちいちクライアントと作業者の間に入って、手間が増えるだけじゃん?
『ということでちょっと修正をして欲しいんだけど』
ミナト「はぁ?俺の出したデザインにまだ不満があるってこと?目が腐ってるんじゃないの?」
既に数回修正をしているので、ミナトくんがだんだん切れ気味になってきました。
こ、怖い…(普段は言動が失礼ではあるが紳士的な男性です)
『えっとここの色をもっとポップに…でエッジをシャープに…』
ミナト「ポップ?シャープ?日本語でおk!?」
『…ここの色をもっと明るいオレンジにして、全体に白ふちつけて』
クライアントの思考エスパーも仕事です…
しかし今回に限りどうもうまくいかん…
ミナト「もーだめ。これ以上長くなると次の仕事に響く。
あなた挟むと意図がわからんくなる。そのままFWでメール回して」
『ええ…』
フリーランサーであるミナト君たちは、私よりも時間を取られるということについてのコスト意識が高いのです(そうじゃないとやっていけないから)。
ミナト「編集とかしないで。デザインについてのとこだけでいいから」
ダメな子でスイマセン…
(前略)
>妥協せずによりいっそうの
(後略)
ミナト「…は?”妥協せずに”?」
『う…うん…』
ミナト「もうぶっとばすよ?ていうかむしろ俺がでていってやっつけるよ?」
だから読まない方がいいっていったのに…
ミナト「俺は最初から一回も妥協とかしてないし、ていうか最初に出したやつが最上だよ!?」
『いや…ねえ…落ち着いて…イライラすると身体に悪いよ…』
ミナト「他人事みたいに言うな!お前も原因のうち数割だ!」
![]()
しかしそれでも彼はできる社会人。粛々とデータを作り直してくれました。
【○○ロゴ最終版w.ai」】
『あ、早いね、ありがとう。wってホワイト?』
私が指定したとおり白ふちがついています。
ミナト「それもあるけど皮肉」
『皮肉?』
ミナト「これでもし突っ返してきたら、次からwをいっこづつ増やす」
『芝刈り機ドゾー』
_, ._
( ・ω・) ンモー
○={=}〇,
|:::::::::\, ', ´
、、、、し 、、、(((.@)wwwwwwwww
いやまあ、私相手にVIPネタで憂さ晴らしするくらいで済むんだったら、いいんです。
ま、そんなわけで、必要なときにはチーム編成して、便宜上私がトップになります。
大体ミナトくんを柱にして組んでいきます。
たとえばflashでwebゲームを作るとする。
・スクリプター(ActionScriptを組む)
・デザイナー1(全体のデザイン。メインのデザイナー)=ミナトくん
・デザイナー2(細かいアイテムや背景を描く)=トナミくん
・私(全体の管理をして、クライアントに報告連絡相談をし、全員に報酬を分配する)
ゲームと言っても体験版(コンシューマーやPCなどのゲームのお試し)なので、絵とかの素材はある程度あるのさ。
『…ということで先方からもらえた材料はこれだけです。全員確認!』
ミナト「ねえこのキャラさーちょっとブーンに似てるよねー」
『は?ブーンって内藤ホライズン?』(ブーンの本名即答)
トナミ「ぷっ……」
ASスクリプター「あはははは」
ミナト「これ台詞”よろしくね”ってとこ"よろしくだお"にしようぜ」カキカキ
ASスクリプター「アヒャヒャヒャ」カキカキ
![]()
『もういいから黙って作業してくれ…』
職場のクオリティがあいも変わらず高すぎるぜ…
同僚だけじゃなかったぜ…
さて、今回は「森」というお題で製作をします。
クライアントから大まかなイメージ指定が来たので、ミナトくんに背景グラフィックを手配してもらいました。
『あれ?なんか違うよコレ』
ミナト「え?森でしょ?」
『これ森っていうかすごい森の奥に見えるんだけど」』
ミナト「それ僕がそう指定したんだけど、森って言ったら狼とか赤頭巾ちゃんでしょ?」
『森だよマイナスイオンだよ癒し系だよ?森っつか林かな…なんかこう爽やかな…』
頭の中を他人に伝えるって難しいですね。 彼と私の中でイメージの共有がうまくいってなかったのです。
さて今日はミナトくんとクライアントのところまで出向いて、打ち合わせです。
しかしこの「打ち合わせ」ってやつがまた曲者だよね…
案外意味がなかったりするんだよなぁこれが…
しかもミナトくんはvipperですから、小学生男子並みの集中力しかありません(瞬発力はすごいんだけど、飽きるのが早い)。
昔素で居眠りしそうになったので、できるだけ普段は私一人で済ませるのですが(そのほうが作業が進むし)、今回はクライアント側からの強い要求で同席してもらうことにしました。
<<<息抜き雑談タイム>>>
クライアント「最近日本の雑貨が海外で高く売れるんだって」
『へー掛け軸とかですか?忍者スーツとか?w』
クライアント「日本人形とか」
『浅草のお土産っぽいな…』(ミナト君は既に飽きて書類で折り紙をしている)
クライアント「雛人形とか」
『えー私実家にありますよ。イラネーwww売れるのかな。何に使うんですか?オブジェ?』
(タバコの煙を吐き出し、ニヒルに微笑むミナト君が私にだけ聞こえる音量で呟く)
ミナト「…首に紐つけてクリスマスツリーにぶら下げる…」
/\___/ヽ ヽ
/ ::::::::::::::::\ つ
. | ,,-‐‐ ‐‐-、 .:::| わ
| 、_(o)_,: _(o)_, :::|ぁぁ
. | ::< .::|あぁ
\ /( [三] )ヽ ::/ああ
/`ー‐--‐‐―´\ぁあ
![]()
ものすごく鮮明な「ツリーにぶら下がっている雛人形」を想像してしまった。
それまで黙っていたミナトくんが突然そんなこというなんて…
やめてやめて。私のチャンネルを仕事以外に使わないで。
こういうネタ画像?だけは頭になんかのプラグを刺されたかのように転送される仕様らしい。
どうして仕事だと伝わらないの…
『じゃあこれ、週明けまでにね』
ミナト「あ、僕金曜から二泊で旅行に行くからさ」
『ああ、そう』
ミナト「コレと温泉」
小指立てるなよ…言語感覚が変に古いなあ…
『まああなたなら十分間に合うでしょう』
ミナト「うん、できるだけ、出かける前に一通り作っていくから」
『無理はしなくて大丈夫だよ、ごゆっくり』
ミナト「ありがとう」
私が外注であるミナト君にこれだけ余裕を持って接することが出来るのは、彼はフリーランサーとして必要な「誠実さ」を高いレベルで持っているからです。
ミスとか、予定の遅れが無いわけではないのですが、予定が変わるときは必ず一報を入れてくれます。仕事が請けられないときは、理由をはっきりさせてくれます。いわゆる「予定が合わないので」という社交辞令ではなくて、「安いから」とかって。(勿論それは、私が社交辞令が通用しないほど鈍いせいもあるんですが…orz)
しかし次の月曜、彼から連絡はありませんでした。
携帯にかけても繋がりません。
私は一応、便宜上彼の実家の電話番号も知っているのですが、一日遅れた程度で親御さんに連絡するのもなぁ…婚前旅行(私の言語センスもなかなか古い)だって言ってたし。
『うん、水曜まで待とう』
結局火曜日には彼から電話が入り、特に問題もなく納品は済みました。
もともと結構余裕のあるスケジュールだったし、私一人でちょっと誤魔化せば済む程度の遅れでした。
『今までにないことだったから、ちょっと心配したよ、親御さんに連絡しようか一瞬迷った』
ミナト「いやねえ…温泉行くって言ったでしょ…地震に巻き込まれて…」
『……えええええ!!!』
彼は新潟方面の温泉に行ってた訳ですね。
新潟県中越地震2004年 10月23日
『大丈夫なのほんとに』
ミナト「泊ったとこはそんなに被害がなかったんだけど、道がね…車で行ったから、高速が使えなくて。結局一日帰りが伸びちゃったよ。携帯の電池は切れるし、ほんとすいません」
『いや、でも、うん…無事でよかったよ…』
ミナト「いやだなあ、そんな深刻な顔しないで、なんとも無かったんだから」
『ごめんね、全然気づかなくって』
ミナト『揺れたって言ってもたいしたこと無かったよ。その時丁度温泉はいっててさー。
髪の毛洗ってたのね。ちょっとびっくりしたけど、気にせず洗い続けた程度」
『なんだぁ』
ミナト「次の日に高速のろうとして、状況のやばさに初めて気づいたんだよ。僕普段からテレビあんまり見ないし。いやあー、12時間くらい車に乗ってたよ…」
これは納品が済んでからの会話で、それまでは遅れた分を取り戻すまで黙々と作業をしてくれたわけです。ほんと素晴らしいよ…君は漢だ…!
ミナト「しかし途中でどーしても我慢できなくなって、途中で立ちションしてたら余震がきてさー。
髪の毛洗ってるときといい、チンコ丸出しの無防備なときに限って何で!?って。呪われてるのかねえ」
![]()
…感動にチンコで水を差さないで…欲しかったな…orz
しかし考えてみたら、わが社は私と社長以外は全員、フリーランサーです。
社長も、元はフリーのSE?ですし今も実際そんなに変わりません。海外や国内を常にうろちょろしているので、滅多に社員の私とは顔を合わせることがありません。
みんなになんでフリーになったの?と改めて聞いてみました。
社長「フリーっていうか…学生時代からやってたから、当然の結果かな」
ウメダ「夢があって起業したいから」
タケイ「だって俺満員電車に乗って通勤とかできないから。」
サカイ「普通の会社員だと、平日のメイド喫茶のランチに行けないじゃん」
(そうやってポイントカードをあの量溜めたわけね…)
![]()
改めて聞いてみたら誰一人「まともな就職活動」を経験していない我が社コアスタッフたち。
ま、確かに自由はきくわな。
今日はミナトくんとトナミくんと打ち合わせです。
さっさと話は済ませて、二人にお茶を出してあげることにしました。
火事で長いこと閉鎖されていたヤマギワソフトそばのミスタードーナツが、再オープンしたのです。
『いっぱい買ったから食べてね』
トナミ「ありがとうございます」
トナミ君は遠慮がちに上から一個。
ミナト「…なんだよもう好きなやつが一個も無いよ…」
『え?チョコとかオールドファッションとか買ってきたけど』
ミナト「僕は表面にウルシみたいなのがかかってるのが好きなの!」
ミナト君はきれいに全部ひっくり返して遠慮なく選んで取ります。文句言うけど食べるんじゃん…
『わかったよ覚えとくよ…』グレーズ(砂糖衣のテカテカしたやつ)のがいいのね…
コーヒーにドーナツでしばしお茶を楽しみます。
ミナト「そういえば休みの日はなにしてるの?」
トナミ「え…下北沢とか…先週は自由が丘に」
ミナト「はぁ?あんな田舎になにしにいくの?」
生粋江戸っ子からみると自由が丘は田舎という区分になるらしい、新興開発地だからかな。
トナミ「まあ彼女と買い物したりとか…」
やばい。トナミ君(東北地方出身)が微妙にムッとした顔をしている。わわわ私が何とかしなければ。
『ミナトくんこそ』
ミナト「僕仕事以外では基本的にあんまり出かけない。仕事詰まってるし…」
『じゃあ聞かないでよ…』
ミナト「外の話題に飢えてるんだって。だってさーもう2chちゃんとみる余裕も無いから、主な情報源痛いニュースとかvipまとめblogとかだけだもん」
IT系では憧れ?のフリーランスですが、実際にやってみると合わない…というので企業づとめに戻る人も結構います。
・ついついだらけてしまう
・営業(仕事を獲得する努力)が面倒くさい
・寂しい(案外これが辛い…)
私も一人事務所なので、寂しいというのはちょっとわかる。
ミナト「じゃあ改めて聞くけどアナタは休みの日何してる?芸能人とか会った?」
『酒飲んで寝てるよ。芸能人は会っても気づかない。私ものすごい近眼だしテレビ見ないから顔が認識できない』
ミナト「なんだよテンション低いなあ、あなたってほんとダウナー系だよね、田舎もんなんだからもうちょっと素直にはしゃげよ」
『いや、都会は素晴らしいなあ、とは常々思う。どこでもすぐ酒買えるし』
ミナト「僕的にはむしろスーパーがあるところは田舎に入るんだけど。イオンとかダイエーとか」
…ますますトナミくんがムッとしてるぜ…きっと実家の近くにあるんだね…
『どちらも無いよ。というかそれ以前にコンビニが無い。隣の家まで1km以上あるし』
トナミ「…北海道?」
ミナト「…離島?」
『どっちも違うわ!本州です』
私の実家は岐阜県の、結構秘境というかぶっちゃけグレート田舎です。ていうか本籍地最近まで「村」でした。
ミナト「村…」
トナミ「村人…」
『村人はちょっと、イメージ的にやなんだけど』
![]()
ふくやまけいこの漫画「東京物語」(大正時代の東京が舞台)で、浅草のお蕎麦屋の娘はこういいます。
「あたしが一生行くこともないような遠くの土地のいろんな人が来るわ。
会えずに終わるはずの人が自分から来てくれるもの…
私東京に生まれて得しちゃった」
当時は旅行っていうのが新婚旅行くらいしかない時代で、一部、自分から望みを抱いて上京する人はいても、東京の人が地方に行くことというのは少なかったんじゃないかと思います。
でも今も多分地方→東京(もしくは大阪)の方が、地方→地方や東京→地方より絶対的に多いだろうし。
うん、私も東京に来て良かったな。いろいろありえない物も見れたし(例:イタ車・コミケ)、いろんな人に会えた。
東京生まれのミナト君とも、東北生まれのトナミ君とも、東京に来なければ多分、会うことは無かった。
また、私は時にディレクションされる立場でもあります。
みんな驚いちゃいけないぜ!私はたまに「Flashができる人」ということで他社に貸し出されることがあったんです。はい、ASぜんっぜんできませんが何か?基本的にgo to and playもしくはstopしか使わないよ?(英語でたとえるなら"I have a pen"以下だと思ってください)
目黒や恵比寿の華やかなデザイン事務所でも(だから?)、Flashができる人があまり在籍しない人ところはままあります。その会社で一番flashができる人の作ったものを見たら
文字のボタンのヒットエリア(当たり判定)が、文字のみだった
とかはざらです。
(Flashはhtmlと違って、厳密に当たり判定の有る無しを指定しないといけないので、一見文字のリンクも当たり判定は長方形にしないとすごく使いにくいボタンになる。たとえば「O」の真ん中の当たり判定が無いとか。押せねえ!!)
でももともとそんなに気が強いほうでもないし(ネット弁慶ってよく言われます)、ディレクションされる側の方が本質的には好きです(問題はプロフェッショナルとしては能力がしょっぱいということに尽きる…)。それに表参道とか打ち合わせで行くとなんかこう、ハチクロの真山?みたいな?(嬉しい)
そんなオサレ系な職場でのディレクターは、ヨヨギミズエさんといいます。なんか持ち物も”メジャーじゃないシックなブランド物”見たいな感じです。美人です。いいなー。素敵だなー。
ヨヨギ「うちの会社会議室無いからさぁ」
っていっつもオサレなカフェに連れてってくれます。はわー(尊敬)。
ヨヨギ「じゃあ、今度は○○邸ね!」
…
『家?』
ヨヨギ「あのね、昔の貴族の邸宅で、今は美術館になってるとこ。喫茶室ついてんの。
ムードがあっておしゃれだよー!」
ますます尊敬。
そういうの詳しいんですね。
しかし私は…見てしまった…
ヨヨギさんのオサレなエディターズバッグの中に…
月刊日本の城と歴史…(うろ覚え)
よく見たら…
男たちのYAMATOストラップ携帯についてるよ…
待ちうけが城(どこのかわからん)だし…
ヨヨギ「ちまきちゃんってどこの出身?」
『えと、岐阜県です』
ヨヨギ「ああ岐阜城ね!去年旅行で行った!私、日本全国城巡りしてるんだぁ」
城で認識しないでくださいよ…
![]()
その後彼女はあるMMORPGの大手に転職しました。
毎日城だとか…多数対多数の戦闘とか…よかったね…天職だね…
なんで私の関係者ってみんなこうなの…orz
以前にもあったように、基本的に業務上全てのやり取りはMLで進んでいきます。
その方が何月何日に指示があった、とかって記録がとりやすいし、全員に作業の進捗が明示されるから。
ちまき
件名:ステータスバー画像
>タケイさん
依頼されていた新規のステータス表示用画像完成しました。
ftpの○○におきました。
タケイ
件名:re ステータスバー画像
組み込んだところ特に問題ありませんでした。
同じように、カーソルがオンになった色違いの…(以下略)
それはそうとナンバーの綴りはNumberですよ。
『なんてことすんだこのチンカス野郎!MLで指摘することないだろ』
タケイ「だって毎回間違ってるんだもん!!」(書き出しの設定保存してたからなのぉ…!)
『大恥かかせやがって!謝れ!レイラさんに謝れ!!』
タケイ「だが私は謝らない」
ウメダ「大丈夫、みんな知ってる」
マツバラ「僕も画像ファイル名の綴り直した事ある」
『…』
タケイ「ほら、言ってあげる俺が一番優しい」
![]()
それ以来、名刺はどうあれ、みんなの中の私の役職は「ポフェッショナルデザイナー」で統一されてるようです…
大卒ってレベルじゃねえぞ!(私が)
しかしアキバ外の仕事を請けると、打ち上げとが
「六本木」
とかになるんです…
ポ…ポンギ…
タケイ「どうしたいつになく鬱々して」
『今日…別の会社の打ち上げに呼ばれてて…どうしよう…六本木なんですよ…何着ていこうかな』
タケイ「絶望した!オマエがそんなことで怯むということに絶望した!!」
いや非モテ系女の子にとって、六本木は敷居が高すぎる、属性支援が取れちゃう。
タケイ「いいかっ、渋谷でも六本木でも基本は”みんなが羽目を外しにいく場所”なんだ。いつものオマエで行って来い!飲んでクダ巻いて大暴れして”ジャンプ?よく知りません!ていうかよく読む漫画雑誌は電撃大王!”と言っておけば、主導権をとれること間違いなし!!」
『…電撃大王って読んだことないんですけど…』
タケイ「とにかくオマエはオマエがあるがままに周りに迷惑かけてこい!」
『どうして迷惑かけることが前提なんですかっ』
そして当日。
飲み会の席。
突然
「ちまきさんはマンガとか読みます?」
って元気良く聞かれました。
なんだこれは。孔明の罠か。
ここで正直に「今は高橋葉介集めてます」とか「美川べるのかなりキテる」とか言うべきじゃないだろう。この場合(当時)は
・NANA(映画化されたメジャータイトル)
もしくは
・DEATH-NOTE(同上)
だろう。
「最近までDEATH-NOTE頑張って読んでました。でもLが死んでからはちょっとつまんなかったな」
「じゃあジャンプ読むんですか?」
「ああ…たまにですけど」
「いちご100%読んだことあります!?」
![]()
そして20代オサレ系にいちごを語られるちまき。
普通の人からは「ベタドラマ」「ネタ漫画」らしい。
うん、そうだね、タケイさんの言うことも30%くらいは間違って無かったね…
30%だけどね…
2006年08月01日。
一時帰国した社長にあれがあって…これがあって…郵便がこれで…とまとめて渡します。
社長「あ、今日”とらのあな”のレセプションがあるな」
『レセプション?』
社長「あそこにみえるだろ?新しくビルが建ったんだよ。いろいろお付き合いがあるからね」
平日でもアキバはスーツが少ない。夏休み中なんでアニメイトとかは学生さん花盛り。その中でオトナが談笑しながら記帳の列を作っていた。あと声優さんか?若い女性もチラホラ…
普通のイベントと勘違いしたらしいデブキモオタ(ステレオタイプな言い方になりますが)が、列を横切って突入しようとして、入り口で爽やかに受付のお兄さんに断られていました。
我が社長は颯爽と招待状を持って”とらのあな”の新ビルに吸い込まれて行きました。
![]()
なんかこういうのどっかで見たなぁ…と思ったらアレだ。DoCoMoの公式CPと関係者のみ招待の記念式典。
あの時は中でアンガールズとか旬の芸人が何組かステージやってて、「うぉう」ってDoCoMo様の威信にびびったもんだけど、あれですね、きっと中ではアキバ系なら感涙もののなにかがなされてるんだろうな。
つまりあれが本物の「アキバ系セレブリティ」の世界なんだろう。
前にサカイさんににメイド喫茶で「社交界に紹介」されたときも感じましたが、そういう場(自分のフィールド)で低い声でのんびり談笑しているオトナってなんていうの?その場の「セレブリティ」って感じがしますよね…
英語の例文であるじゃないですか。「ひとかどの人物」(Somebody)ってやつ。
アキバでも六本木でも新宿でも、「セレブの出現にオロオロする一般市民」の役を割り当てられているちまき26才(当時)でした。
だだだ大丈夫だ。
女にはまだ「○○の女」(正妻でなくても良い)という成り上がり手段があるじゃないか!!「ひとかどの人物」と交際すればいいハズ!!
そして私はその頃から、この「アキバ系セレブリティ」を書き溜め、今に至っています。
次回からの第三章が「よりディープなアキバの暗部」についてのお話です。
第二章があれね、ナディアでいうとこの「島編」よね!!(またアレなネタばっかり…)
![]()